「三角波・矩形波・鋸(ノコギリ)波・ノイズ」

シンセでよく使われる波形

三角波(Triangle wave)、矩形波(Square wave)、鋸波(Saw tooth wave)、ノイズは、昔からデジタル・シンセサイザーにおいて標準で使われている波形です。


三角波・単音 (mp3/11kb)
三角波の使用例 (mp3/15kb)

(三角波を合成する計算式を忘却してしまったため、現在調査中...)

三角波は、直線で表せる波形の中では、もっとも正弦波に近い「丸い」音の出るものの一つです。この効果は、特に低域で顕著になることから、ゲーム機ではベース音に使用される機会が多くなります。

次のセクションで詳細を記しますが、ファミコンは同時に1つまでの三角波を発音することができます。



矩形波 (mp3/13kb)
矩形波の使用例 (mp3/25kb)

矩形波は、基音と、その奇数倍の周波数を持つ正弦波の和で、クラリネットが持つ波形に、近いと言われます。

これも後で述べますが、ファミコンのシンセは、この矩形波を同時に2つ鳴らすことができ、主にメロディーや裏メロ、その他の伴奏に使用されます。

上記のサンプルには、「矩形波」と、後述の「非対称矩形波」で同じフレーズを演奏したものを、続けて収録されております。


基音に、その整数倍音を順に重ねていくと、上記の鋸(のこぎり)波の波形に近づいていきます。

これは、弦楽アンサンブルの音色に似ているとされており、実際にこの波形を少し加工するだけで、いわゆる「ストリングス」に近い音色を簡単に得ることができます。

残念ながら、我らがファミコンには、この鋸波を発音する機能はありません。


ノイズとは、ランダム(=ムチャクチャ)な波形です。いい加減な数字を高速で羅列することぐらい、コンピュータには雑作のないことですね。

ノイズはまた、「全ての周波数の和」でもあります。

適当な周波数を持つ正弦波を重ねていけば、最終的にはノイズになりますし、逆に「フィルター」という特定の周波数を取り除く装置を使えば、ノイズから大抵の正弦波を抽出することができます。

ファミコンはノイズも発音する機能を備えており、短く切ったノイズは、主にスネア・ドラムやハイ・ハットに相当する、パーカッションの音に使用されます。


僕自身エンジニアではないので実情は解りませんが、特にデジタル・シンセでこれらの波形が好まれているのは、合成する際の処理が、比較的楽だったからではないかと思います。

上記の鋸(のこぎり)波を例に挙げてみましょう。
あらゆる波形をデジタル的に合成する際には、そのアルゴリズム(処理の手順)は人間が組む必要があります。鋸波の場合なら、以下のような手順で合成できます。

初期値: 電圧v =0, 定数n(n>0), 定数m(m>0)
Step 1. 電圧vを、nだけ増加させる
Step 2. 電圧vが一定の値mを越えたら、処理 v = v×(-1)を実行
Step 3. ステップ1に戻る

時間を横軸に、電圧vを縦軸にとれば、上記をくり返すだけで鋸波が描けますね。ここで定数nの値を増加させると、Step 2.において処理が実行される頻度(=周波数)が増加することに注目して下さい。

何やらややここしそうですが、単純な足し算、引き算だけで正弦波のグラフを描くよりは、ずっと簡単そうではないですか?